女の子と大蛇 [故事の中の大道理]
これは本当にあった出来事です。五才の女の子が家を出たきり二日経っても戻らなかった。両親は大変心配し、知人や親戚など総動員してやっとみつけた。
それは、河の砂州で、あろう事か死んだ大蛇のとぐろの中で眠っていた。後で分かった事だが女の子はこの砂州で遊んでいるうちに、突然大蛇に襲われた。
女の子は怯えることなく勇敢にも両手を伸ばし、大蛇の首根っこを押さえつけた。急所を押さえつけられた大蛇はとぐろを巻き、女の子を締め上げた。
然るに、女の子の身体は小さく、且つ、大蛇は大きすぎて、隙間ができ、身体がすっぽりと入り込み、安全だった。
それで女の子は三時間ほど首根っこを押さえ続けると大蛇はゆっくりと柔らかくなっていき、なお、二時間余り押さえ続けていると死んでしまった。
この話が近在に広がると人々は様々な憶測をした。
ある人は:「この子は生まれつき大変な念力の持ち主だったのだ!」。又、ある人は:「大蛇は腹が減っていて、元々力が無かったのさ!」。又別の人は:「大蛇は元々病気で、弱っていたのさ!」等など。
めったに無かった出来事なので人々はとまどい、あれやこれやと推測するが本当の事は分からなかった。
{人は生命に関わる特殊な環境下に置かれた時、巨大な潜在能力が突発し、己が身を守れるすべを具えている}。{火事場の馬鹿力もその一つ}
{翻訳:小故事中的大道理}
牛解体職人の理 [故事の中の大道理]
国王は有名な牛解体人の易に、一頭の牛をさばいて見せろと言った。易は刀と自分の手足や膝など全身を使い、とてもリズムカルに短時間に静かにさばいて見せた。
国王はその手さばきに感心し、どのような修業をしたのか?と問うた。
易は、始めて三年間は各部位の成り立ちや骨や筋肉のつながりなど仔細に観察ばかりしていた。それで牛の体の成り立ちをつかみ、例えばある一点を押さえれば、それに繋がる筋や骨がゆるみ、わずかな隙間が出来る。そこへ刀や手を当てれば自然にほぐれ、容易にはがれる。
従って私の刀は研がなくても、十五年余り使っているが少しも切れ味は変らない。 一人前の解体人でも一年に一度は刀を新品に替え、普通の解体人は毎月一回新品に替える。彼等はまるで木を切るように刀で叩き切るからだ。
国王は易の話に深く感動し、「人が身体の養生をするにも一脈相通ずる」と,事の理に感心した。
{一切の事物はどんなに複雑でも、内在している規律に拠っている。規律を探し解明し、その拠って立つ理に沿って事を運べば道はたやすい}
(とは言うものの、事はそんなにうまくいかないとは皆さん先刻ご承知なのだ)
{翻訳:小故事中的大道理}