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桑中李樹「イワシの頭も信心から」{中国の寓話} [中国の寓話]

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 むかし、ある男が「すもも」の実を食べながら歩いていた。食べ終わると「種」を傍らの「桑の木」の幹の大きな空洞に吐き捨てた。男はその上に土をかぶせた。

  別にここで「すもも」を育てようなどと考えたわけではない。ただの余興気分だった。その後、男はその事をすっかり忘れ去った。

  歳月が過ぎ、「すもも」は芽を出し誰知らぬ間に人目につくような大きな「すもも」の樹に成長していた。

  人々は「桑の木」の中に「すももの樹」が生えているのを見て、これは珍しい大変「神奇」なことだと崇めたてまつるようになった。

  ある目の悪い人がこの話を聞き、これは「神樹」にちがいないと思った。彼は白い杖をつきつきこの樹の前にやってきて;「李樹さん、もし私の目が見えるようになったらどんなお礼でもします」と「願」をかけた。

  するとすぐに目の痛みがとれ、数日のうちに目が見えるようになった。彼はとても嬉しくて会う人ごとに「神樹」のお陰だと熱っぽく語った。そして「神樹」の前にお供え物をし、かねや太鼓を打ち鳴らしお祭りをした。

  この話は瞬く間に近在に知れ渡り、目の悪い人ばかりか「百病」にも効くとうわさが広がり、人々はお供えをし「願」をかけた。

 ある時、「すもも」の実を吐いた例の男が旅の途中で再びここを通ると、「神樹」さわぎになっているのに驚いた。

  男は「いきさつ」を熱く語ったが誰からも相手にされず、かえって怪しい人とされ、すごすごと立ち去らざるを得なかった。

  目が治ったのも、病気が治ったのも「信心」による自己の精神作用の偉大なはたらきによるもので、まだ科学では解明されない未知の領域にかかわることがらであろうか?「イワシの頭も信心から」を甘く見てはいけない?!

  {中国寓言 作者不詳}より   写真は桑の木とその実 。
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