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嘆牛 (用が済んだら惜しげもなく捨て去る) [中国の寓話]

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 劉さんが散歩していると、一人の年寄りが足の不自由な一頭の牛を曳いてやってくるのに出会った。

 劉さん;「体格のいい牛だね。でもどうして足が悪いの?それにとても恐れているね、どこへつれていくの?」
 年寄り;「良いえさを与えたからだよ、足は働き過ぎて痛めたんだ。」

 劉さん;「どんなふうに?」
 年寄り;「千斤の荷物をひき、北の雪山を越え、南の渓谷を渡り泥濘をかきわけ日照りにあえぎながらよく働いたものだ」

 劉さん;「でも、足以外は満々と肥ってじょうぶそうだね」
 年寄り;「ん、で、高く売れるので肉市場へ売りに行くんだ!」

 劉さん;「あなたは利益を得たいし、牛はあんなに働いたのに死なねばならん。可哀そうだ。さて、どうしょう?。わしは金がないので今着ている服を売ってこの牛を買い、野原に放ってやりたい」。どうじゃ?
 
 年寄り;「わしは酒を飲みたいし肉も食いたい。子供に飴を買ってやり、かあちゃんには綺麗な服の一つも買ってやりたい。そんなお前さんの安物の服なんか話にもならん」。と笑ってとり合わない。

  劉さん;「あーあ、用が済んだら惜しげもなく捨て去るのだ」と大きなため息をついた。

 昔、呉の国の国王は覇業を成し遂げると大功のあった伍子胥を自殺に追い込み、秦の始皇帝は帝に就くと首相の李斯を馬裂きの刑に処し、比類なき勇者の韓信もまた身に覚えのない罪を着せられ獄に朽ちた。岳飛もまたしかり。

 {ひるがえって見れば、今の世も似たようなもんだ。派遣切りに肉親の高齢者虐待も同じ流れに見えてくる。これらすべてはこの牛と同じだ。なんて悲しいことなんだ!}

 {寓林折枝}より  写真は韓信の勇姿
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