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強取人衣 [中国の寓話]

  宋の国に{澄子}という名前の男がいた。ある時、彼は一着の黒い服を失くしたのに気がついた。rosi1a.jpg
それであちこち探したが見つからず、もしや道で落したかも、と道路に出て探しにかかった。

  その時、一人の女性が黒い服を着てやってきた。彼はすかさず彼女を捕まえ;「わしが失くした黒い服だ、早く脱いで返せ」と言った。

  驚いた女性は;「貴方が落とした服が黒い服であっても、これは私の黒い服だ!私が自分の手で縫った服だ」と拒んだ。

  男は;「早く私に渡した方がいいよ。私の失くしたのは厚い裏地のついた暖かい服だ。
  お前のは薄っぺらな単衣の服だ。私のと、お前のとを交換した方がお前にとっては得なのが分からないのか?」と言って奪っていった。

  (勝手な論理を振りかざし、悪を正当化する輩はいつの時代にもいるもの)

  {呂氏春秋 淫辞篇}より
  
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