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恥をかかそうとして却って恥をかく [中国古典]

shuo1eng.JPG恥をかかそうとして却って恥をかく

   晏子は斉国の三代の国王に仕えた優秀な宰相で、その英明はつとに諸国に聞こえていた。ある時、荊の国に国王の使者として行った時の話。

   荊王は晏子を迎える時;「晏子は賢人だと世に聞こえた男だそうだが、一度恥をかかせてみたいものだ、何かいい方法がないか?」と左右の者にはかった。

   そこで側近の者が;「晏子が来たら一人の罪人を縛って荊王の傍を通り過ぎるようにします」と言った。

   しばらくして荊王と晏子が会見し、話をしている傍を一人の罪人が役人に縄を打たれ、通りかかった。

   荊王;「そ奴は何者だ!」
   役人;「斉の国から来た者です」

   荊王;「何をしたんだ!」
   役人;「泥棒です」

   荊王;「斉国には泥棒が多いとみえるな」と晏子をあてこすった。

   晏子;「江南の地に橘(たちばな)の木があり、我が斉王がこの木を江北の地に植えさせたところ、橘(たちばな)の木にならず、枳殻(からたち)の木になってしまいました。これはどうしてでしょうか?

   要するに、ものは育った地や環境に依存するものです。その罪人は斉国にいたときは盗みなどしなかったのに、この荊国に来てから泥棒をするようになったのです。ここは泥棒が生まれやすい土地のようですな」と晏子は逆手を取った。

   荊王はまいった!恥をかかそうと思って却って恥をかかされてしまった、と我が愚かさを嘆いた。

   {説苑 奉使)より
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